【第7回】良い働き方を継続するためのマインドセット|QAエンジニアのスタートガイド

この連載では、ソフトウェア開発のQAエンジニアとして働き始めた皆様に向けて、私の実体験をもとに「こんなことを知っておけばよかった」という、ちょっとした気づきを共有します。
一緒にソフトウェア開発のQAエンジニアとしての充実したエンジニアライフを築くためのヒントを探っていきましょう。

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ソフトウェアテストを背景としたQAエンジニアはその専門性として、批判的思考を持っています。

これらのスキルがテストにおいて重要であることはいうまでもありません。

一方で、アジャイル開発の現場をはじめとするソフトウェア開発の現場では、チームワークが不可欠です。

そういった状況の中で、批判的思考の一辺倒ではうまくいかなくなることがあります。

また、テストを担うQAエンジニアは、納期や品質に対するプレッシャーから、様々な精神的な問題に直面してしまうことがあります。

これらの課題を乗り越えるには「マインドセット」が重要です。

本稿では、こういった状況を乗り越えるために、私が大切にしている「マインドセット」について解説いたします。

他者ではなく、自分を変えるという気持ち

誰かを変えたいという欲求にかられるQA

QAエンジニアは品質保証のために欠陥や改善点を見つけることが求められる職種であり、常に批判的思考・視点を持つことが重要です。

こういった批判的な思考を続けるうちに、QAエンジニアは「周りの人を変えたい」「チームを変えたい」という考えにいたることがあります。

しかし、これらの欲求はほとんどの場合満たされません。

なぜなら、他者を変えるということは自分自身ではコントロールできないからです。

その結果、様々なフラストレーションを抱えてしまったり、時には対立を生む可能性があります。

こうした「誰かを変えたいという」考え方を持って苦しんでいるQAエンジニアによく出会いますし、私自身もその苦しみに悩まされることがあります。

自分ごとで捉える

そこで考えていただきたいのは「自分が変わる」あるいは「自分ごとで捉える」ということです。

仮に「相手の問題がある」と思ってしまっても、一度自分自身の考え方・捉え方・思い込みによって「問題」だと捉えていないかを自問自答してみることをおすすめします。

悪感情を抱くことは、もしかしたら自分の捉え方やバイアスが原因かもしれません。

重要なことは、「自分がコントロールできる問題に変換する」ということです。

相手がどのような人であろうが、どのような行動であろうが、他者を変えることよりも自分が変わることの方がはるかに簡単なのです。

チームやプロジェクト全体の課題を考える際にも、「誰かのせいでこうなった」と捉えるのもおすすめしません。

むしろ自分自身の責任として捉えて、自分のコントロールできる範囲で、小さく対処していくことも必要になります。

こういった視点で行動することが、問題解決と自己成長につながると考えています。

これらのマインドセットのあり方について「自分の小さな「箱」から脱出する方法」という書籍が参考になります。

この本では、他者を変えようとするのではなく、自分自身の考え方や行動を変えることで、より良い人間関係を築く方法が解説されています。

また、NLPという考え方も自分のマインドセットを適切に保つことに役に立ちます。

NLPは独特の単語が出てきて難しい部分がありますので、「マンガでやさしくわかるNLP」といった初学者向けの書籍から入ることをおすすめします。

チームに合わせて仕事をする

個人の仕事を充実させる

社会人、あるいはQAエンジニアとして働くなかで、効率的な働き方や個人のスキルを高めることはとても重要です。

そんな中で、例えば効率的なスケジュールの組み方を実践したくなることもあると思います。

「朝には重要な仕事をする」などです。

こういった形で自分の仕事術や仕事のやり方を確立することは生産性の向上や自己肯定感の向上に繋がります。

チームの仕事を優先する

しかし、ソフトウェア開発はチームで行うということを忘れてはいけません。チームのミーティングが入ったり、作業が入ったり、様々な事情で自分の仕事術が妨げられてしまうこともあると思います。

ここで重要なのは、自分の生産性や自分のやり方だけにこだわるのでなく、チーム全体のことやチームのやり方を尊重するということです。

私自身、自分のやり方やタイムスケジュールにこだわって仕事をしていた時期もありました。

しかしながら、周りの意見に耳を傾け、建設的な議論を行い、合意形成を図ることは自分のタスクをこなすことよりもチームの利益につながることに気がつきました。

時には自分の意見ではなく チーム全体の利益を優先したり、自分の都合を変えて全体のイベントを優先することが必要です。

自分の仕事へのこだわりから脱してチームの利益のことを考えて仕事をすることは、自分自身の達成感に繋がったり、チームでしか解決できないような難しい課題を解決することができるのではないかと考えています。

尊敬と感謝を能動的に持つ

尊敬の気持ちを持つ

QAエンジニアとして、様々な人と関わるのではないかと思います。

職場の同僚・上司・部下・顧客・様々なステークホルダーです。

そして、その関係するすべての人に対して、尊敬の念を持つということはとてもいいことです。

「自分はこんなに尊敬している人たちと働いてるんだ」と思いながら働くことは精神衛生上もいい効果があると実感しています。

周囲の人たちのいいところをできるだけたくさん感じ・探して・言語化し、それに対して尊敬してください。これは、エンジニアのマインドにいい影響を及ぼすと考えています。

能動的に感謝する

周りに感謝の気持ちを持つことは、自分自身のマインドにいい影響を与えると考えています。

感謝して、それを伝えることにデメリットは何もありません。

私がおすすめするプラクティスは、感謝にかかわる日記やメモを毎日書くということです。

自分が受動的に感じた「ありがとう」の気持ちを書くのもいいですが、むしろ能動的に感謝の気持ちや「ありがとう」と思った気持ちを探すということが大切です。

そしてそれを書き起こすことも重要です。

これらのプラクティスによって、毎日接する人への気持ちや心持ちが好転し、よりよいマインドセットで働けると考えています。

さいごに

この記事では、QAエンジニアが直面する課題を乗り越えるためのマインドセットについて解説しました。他者を変えようとするのではなく、自分自身の考え方や行動を変えること、チーム全体の利益を優先すること、そして周囲への尊敬と感謝の気持ちを持つことが重要です。

これらのマインドセットを実践することで、QAエンジニアはより良い人間関係を築き、チームでの協働を円滑に進め、難しい課題を克服し、自己成長を達成できるでしょう。

皆様が、この記事で紹介したマインドセットを日々の業務に活かし、より充実したキャリアを築かれることを願っています。

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SQRIPTER

山下 友輔(やました ゆうすけ)

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ソフトウェアテストに専門性を持つ、大阪在住のバキバキQAエンジニア。なによりDirty Testerでもある。
2018年に第三者検証会社に第二新卒として入社後、派遣テスターとして業務をこなしつつTPIというテストプロセス改善技術について学ぶ。
現在はWeb系SaaS企業のQAエンジニアとして、パーフェクトQAパーフェクトスタイルを模索している。

JSTQB TA/TM/TAE

プロフィール画像は妻が描いてくれた。

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