はじめまして。テストエンジニアのサバコ、りんご、ぴょんです。

私たち3名は、昨年よりQA事業に携わる部署の所属となり、現在はテスト実施業務に従事しています。まずはテスト実施で経験を積みつつ、将来的にはテスト設計者へステップアップしたい・・・!という目標を掲げ、日々業務に取り組んでいます。

そんな私たちは昨年、社内で1ヵ月間の「テスト設計者研修」を受講する機会がありました。今回のブログでは、テスト設計未経験の私たちが1ヵ月間の設計研修で何を学び、どんなことを感じたかをお話ししたいと思います。

テスト設計者研修の概要

1.座学(約1週間)

はじめに、約1週間の座学を行いました。座学ではテストに関する基礎的な内容を中心に学習しました。

  • ソフトウェアテストの基礎とテスト工程の概要を学ぶ
  • ブラックボックステスト技法の学習および演習
  • 理解度テスト(1日):主に各テスト技法の習得度を確認するテスト

2.テスト設計演習×2回(各1週間)

座学の次は、テスト設計演習を2回にわけてそれぞれ1週間ずつ行い、より実践的な学習を行いました。

  • 演習用のシステム仕様書を基に「テスト設計仕様書」を一通り作成し、適切なテスト技法を用いてテストケースを作成するまでの演習
  • 2回目の演習では、顧客への説明を想定したプレゼンテーションも行う

テスト設計者研修で学んだこと、感じたこと

1.テストに関する知識・考え方の変化

座学の研修は基礎知識に関する講義が中心でしたが、その中でも重要なポイントについては実例を交えた丁寧な解説があり、テスト業務の全体像が理解しやすい講義でした。特に、テスト設計の一連の流れを学ぶことができたのはとても有意義でした。

受講前は、テスト実施業務で使用している「テスト項目書」は、開発仕様書などから直接起こすもので、イメージとしては「Verification(検証)」の視点に基づくものと考えていました。

しかし、実際には機能の洗い出し、テスト観点の抽出、洗い出した機能へのテスト観点の割り当て・・・など、様々な分析を行いながら「テスト設計仕様書」を作成し、開発仕様書には記載のない部分、ユーザーの要求・ユーザーの使い勝手なども意識した「Validation(妥当性確認)」の視点も含めて、ひとつひとつのテストケースが作られていることを学びました。

普段目にしている「テスト項目書」がどのようなプロセスを経て作成されているかを学び、また設計演習でそのプロセスを実際に順を追って体験できたことで、現在のテスト実施業務においても、

  • なぜこの観点が用いられているのか
  • この項目にかかる工数は適切なのか

などを考えながらテストに取り組むようになりました。

また、

  • 挙動は仕様通りだが、システムの応答時間が若干遅いのでは
  • (とあるシステムで)メッセージの送信時間に、時間だけでなく「日付」も付与した方がユーザーにはわかりやすいのでは

など、ユーザビリティの観点を考慮して報告・要望も挙げられるようになってきたり、テストを行う際の「意識」にも少しずつですが変化が出てきたように思います。項目書の文字を追うだけのテストではなく、設計者の意図やテストを行う意味をしっかり理解した上で実施することで様々な気付きが生まれ、より質の高いテスト実施が可能となることをあらためて実感しています。

他にも、テスト設計演習の際、「ローレベルなテスト項目書の作成」を心掛けるよう指導がありましたので、実業務で触れるテストケースについても、

  • 経験の浅いテスターでも、正しいテストが実行できる前提条件・実施手順となっているか
  • 明確な期待値の記載がされているか

など、ローレベルな項目書になっているかを常に考えながら見るようになりました。

「テスト設計には正解がなく、テスト設計者によってテスト項目にも違いが出る」とのことでしたので、この先もテスト実施を数多く経験していく中で様々なテスト項目書・テストケースに触れながら、実施しやすいテスト項目書のノウハウを身につけていきたいです。

2.難しかったこと、苦労したこと

ブラックボックステスト技法の理解・習得

「同値分割法」「境界値分析」は比較的理解しやすく、実業務でも「テスト項目に具体的な入力値の記載がされていなくても、同値クラスや境界値を入力してテストする」など、ある程度自分で考えて活用できるようになりました。

が、「デシジョンテーブル」「組み合わせテスト」は、どういったケースに用いると有効なのかの見極めと、正しい条件が設定できているのか・・・などの判断がしづらく、演習でもうまく活用することが難しかったです。

とはいえ、膨大・複雑な仕様、入力条件を整理するためにはテスト技法の活用は必要不可欠とのことなので、それぞれの技法に慣れるために「テスト技法の問題集」などを活用し、自学に励みたいと考えています。

顧客への説明を想定したプレゼンテーション

緊張感が高まる中、「テスト設計仕様書」と「テストケース」をどのように作成したかの説明に終始する・・・という反省点の多いプレゼンとなってしまい、少々ハードルの高い演習でした。後に過去の研修の模範的なプレゼンテーションの動画が共有され、プレゼンのあるべき姿が把握できました。

正しいテストを行うためには、ステークホルダとの綿密なやり取り・テストに関する意識の擦り合わせが特に重要であることを学びました。

3.全体的な感想

・主に「Meet」を利用したオンライン研修でしたが、並行してコミュニケーションツール「Metalife」も活用しました。「Metalife」は、研修メンバー全員での会議はもちろんのこと、受講者同士個別でも気軽にやり取りができるツールで、アバターを作成できるゲームのような機能が搭載されていたこともあり、気軽に利用できました。対面でないと一方通行になりがちですが、こうしたツールを上手に活用したコミュニケーションの取りやすい研修だったと思います。

・テスト設計の知識が乏しかったため、理解のスピードや演習の進みが遅く、講師の方には苦労をお掛けしたことと思います。そんな中でも、都度Slack・ハドルミーティング等で最大限のアドバイス・フォローをいただくことができたので、設計演習・プレゼンテーションとも反省点は多々あるものの、ある程度の形に仕上げることができました。

・研修全体を通して、学ぶべき情報量が多く、1ヵ月ではとても頭に入りきらない・・・と焦る気持ちが大きかったですが、研修で使用した資料や演習教材は研修終了後も参照できるよう共有されているため、今後も折に触れ参考にし、引き続き設計に関する知識を深める努力をしたいと考えています。

まとめ

1ヵ月という短い期間で、理論だけでなくテスト設計演習・プレゼン演習なども含めた実践的なスキル研修まで学ぶことはなかなか大変でしたが、得られたものは大きかったと思います。

社内で充実した研修を受講できたことで、テストに関する学びを深められ、日々のテスト実施にも自信を持って取り組むことができるようになりました。

今後も日々の業務を行う中で、研修の内容を反芻しながら知識を増やし、直近の目標として、まずはJSTQB FLの合格を目指したいと思います。

そして将来的には、テスト設計業務にも挑戦しスキルを更に高めていけるよう、前向きに進んでいきたいです。

おわりに

講師の方による研修ブログに、さらに詳しい研修内容の解説があります。ご興味のある方は是非ご覧ください!

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