どうもITインフラエンジニアのあっきーです。

普段の業務はお客様先に定期的にお伺いしサーバーやクライアント端末などのメンテナンスやコンサルをしています。

ここ最近は「Windows Server 2012/2012 R2」のマイクロソフトサポートが2023年10月に終了してしまう話題が多くあります。 「Windows Server 2003」から「Windows Server 2012/2012 R2」へリプレイスを行い、現在も稼働しているケースが多いようで、必然的にこのタイミングでのリプレイスが喫緊の課題になっています。

サポート終了後は、マイクロソフトからの新規のセキュリティパッチが提供されなくなります。その為、新たな脆弱性が見つかった場合、その脆弱性を狙った攻撃を防ぐことが難しくなります。また、トラブル時にマイクロソフトのサポートも受けられないため、ビジネスが止まるリスクが高まります。既に「Windows Server 2012/2012 R2」のリプレイスのお話は多く頂いておりますが、その中でも多い相談はActive Directory(アクティブ・ディレクトリ)の移行、ファイルサーバーの移行を含む案件です。

今回はActive Directoryの移行に関してお話させて頂きます。Active Directoryとは、Windows Server 2000から提供が開始された機能で、ネットワークにつないでいるクライアント端末やサーバー、プリンター、アプリケーションなどの情報を収集し、一元管理できるディレクトリサービスです。Active Directoryの歴史は長くなるので今回は割愛いたします(笑)。

では本題に戻ります。Active Directoryを移行する手順はいたるところで紹介されていますが、今回は、Active Directoryが稼働している「Windows Server 2012 R2」から「Windows Server 2019」若しくは「Windows Server 2022」へリプレイスする際に注意が必要な事を紹介します。Active Directoryの移行作業では、お客様へのヒアリング、旧サーバーの調査、初期設定、ネットワーク設定、Active Directory参加等々の作業後、ドメインコントローラー昇格作業に入りますが、稀に下図のようなエラーが発生する事があります。

ADサーバーリプレイス時に考慮して構成されている場合は出ないイレギュラーなエラーですが、「Windows Server 2022」ではSYSVOL共有のレプリケートにDFS-Rを利用しています。新規構築では発生しないのですが、Windows Server 2003頃からActive Directoryを利用していて、バージョンアップしたリプレイスをした際にFRSからDFS-Rに変換していない時に見かけます。ちなみに、FRSとは以前から使用されていたレプリケーションサービスで、「Windows Server 2016」まではサポートされており、Windows Server 2019以降ではサポートされておりません。

💡 Active Directory の SYSVOL レプリケーション方式として、従来ではファイルレプリケーションシステム(FRS:File Replication System)が使われていましたが、ドメイン機能レベル Windows Server 2008 から分散ファイルシステムレプリケーション(DFS-R:Distributed File System Replication)が利用できるようになりました。また、DFS-R へ切り替えることで「SYSVOL 変更情報の差分のみが同期される」、「SYSVOL に変更が発生した場合は即時に同期が行われる」などのメリットがあります。

とうことで、こういうケースの時はドメインコントローラー昇格作業前にActive Directory の SYSVOL レプリケーション方式をFRSからDFS-Rに変換する作業が必要となります。FSRからDFS-Rに変換するには下記変換コマンドを利用します。

【FRS⇒DFS-R変換コマンド】
 dfsrmig.exe /CreateGlobalObjects
 dfsrmig.exe /GetGlobalState
 dfsrmig.exe /GetMigrationState
 dfsrmig /SetGlobalState 1
 dfsrmig /GetMigrationState
 dfsrmig /SetGlobalState 2
 dfsrmig /GetMigrationState
 dfsrmig /SetGlobalState 3
 dfsrmig /GetMigrationState

コマンド実行後、問題なくFRSからDFS-Rに変換されたことを確認できれば、ドメインコントローラーの昇格作業が実施できます。その後、ADのマイグレーションを行えばリプレイス完了となります。

今回はActive Directory移行時の注意点として「FRS」と「DFS-R」の話をさせて頂きました。
まだ1年間ぐらいはWindows Server 2012/2012R2のリプレイスは多くあると見ています。最近は全く想定しない手順が必要となるケースはあまりありませんが、同じようなケースのリプレイスや新規構築でも決まった手順通りに進まないイレギュラー手順は発生するものです。当社ではイレギュラーな手順が必要になった時は再現環境を作り、問題を特定して手順確立とナレッジ化を行って対応の品質向上に取り組んでいます。

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