
前回、エンジニアの成長における「心技体」の中でも、土台となる「心(マインドセット)」の重要性についてお話ししました。早速、具体的な話に入っていきます。まずはちょっとしたことから「思いやり」を始めていきましょう。
本記事は、まずはQAエンジニアとしての社会人キャリアを歩み始めたばかりの方々(エントリーキャリア)を主な対象としています。今回は「心(マインドセット)」の一つである 「他人を思いやる力」 について、具体的な行動レベルまで深掘りしていきます。
コロナ禍を経て在宅勤務が当たり前の働き方のひとつになった今、 「見えない相手をどう思いやるか」 というスキルは、チームで成果を出すための重要なスキルとなったと考えています。
そして、ビジネスにおける「思いやり」とは、単なる優しさや気遣いではありません。それは、チーム全体の生産性を最大化するための、合理的な配慮です。このスキルは、お互いの姿が見えない在宅勤務という環境で、その真価が問われると思います。
私自身、エントリーキャリアの時には何度もこれから話すようなことで怒られてきました。私は全く完璧な人間ではないのです。たった1人のQAとして会社に所属をし、1人で周り全ての信頼を積み重ねなければいけないこともありました。その中でこれからお話しするようなことをしなかったばかりに失敗をして周囲の信頼を落としてしまうこともありました。
これからお話しすることは当たり前のように聞こえますが、誰でも最初からできることでは決してないのです。それでは、見ていきましょう。
在宅で他者と働く……ための、前提と作法
在宅勤務では、あなたが仕事をしている姿を誰も直接見ることはできません。これは、あなたが報告をしない限り、周囲は「仕事が進んでいるのか」「どこかで困っていないか」を把握できず、不安や憶測を生む原因となります。
ここで「いちいち進捗を報告しないといけないのか?」という疑問を持つ方がいるかもしれません。その答えは明確に「はい」です。なぜなら、他者と協力して働くとは、自身の状況を適切に共有し、チームの透明性を保つことだからです。
ただし、「報告」と「むやみな割り込み」は紙一重です。特にテキストコミュニケーションは、口頭での会話と異なり、相手に文脈の理解や論理構造の読解を強いてしまいます。また、レスポンスする際にも書き手の論理構造や客観的な分かりやすさを考えるコストや時間が必要になります。そのため、安易な割り込みは相手に考える時間を使わせてしまい、結果的に相手の時間を大きく奪ってしまうのです。
「むやみな割り込みをしない」ことは、相手の時間を不必要に奪わないためにも、非常に大切な「思いやり」です。そのためには、メッセージを送る前に、背景や根拠、判断に必要な材料をあらかじめ整理し、要点を簡潔にまとめておくことが重要です。あるいは、すぐに返事が必要ない用件であれば、相手が都合の良い時に確認できるチケットのコメントに残すなど、「バーチャルな肩たたき」の作法を意識しましょう。
「この連絡内容や連絡のやり方は、相手の時間を奪うだけの価値があるものか?」と自問自答することが、信頼関係の第一歩です。
在宅勤務で大切なのは「ステータスで仕事を進めること」
前述の「報告」を実践する上で最も大切なのが、ステータスの更新を意識することです。ステータスを細かく区切ってこまめに更新するほど、あなたの状況は明確になり、周囲も「ちゃんと仕事が進んでいる」と安心して自身の業務に集中できます。
これが、在宅勤務において自律やセルフマネジメントが必要であるとされる理由ではないでしょうか。
「いつでもいい」の正しい意味
この「ステータス管理」を実践する上で、特に注意すべきなのが「いつでもいい」と言われたタスクの扱いです。これは決して「放置していい」という意味ではありません。依頼が発生した時点で、相手はあなたの成果を待つ状態に入っています。あなたが完了を遅らせるほど、相手はその時間を奪われ、後続タスクがある場合はチーム全体の進捗が滞ります。
例えば、あなたに以下の4つのタスクがあるとします。
- 5分で終わるタスク(いつでもいい)
- 1時間で終わるタスク(いつでもいい)
- 1日かかるタスク
- 1週間かかるタスク
もし、あなたがDの完了後にAを報告したら、依頼者はどう思うでしょうか。「5分で終わるなら、もっと早く対応してくれれば、自分の次の仕事が進んだのに…」 と感じるのが自然です。
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