【第3回】求職者側の課題2:適切なアピールで「欲しい」と思わせる

QAエンジニアの採用・選考 どう採るどう通る?連載の第3回です。

前回の記事では、求職者の立場から「どのようなQAエンジニアが求められているのか」を把握する重要性について解説しました。募集背景を理解し、「自走できる人」などの抽象的なキーワードの裏にある具体的な期待値を読み取ることが大切、という内容でした。

では、企業が求めるQA像を理解できたとして、それをどう伝えれば採用担当者や書類選考を行うエンジニアに「この人を採用したい」と思わせることができるのでしょうか。

第1回で述べたように、私が採用担当として書類選考や面接を行っていると、「落とす理由は無いけれど、通すための理由にも欠ける」という判断になる方が一定数いました。おそらくスキルや経験があるのに、適切にアピールされていない。これが、もったいなさを感じるポイントでした。

本記事では、職務経歴書を中心に「この人を採用したい」と思わせるアピール方法について解説します。

記事一覧:QAエンジニアの採用・選考[どう採る どう通る]

よくある「もったいない」パターン

まずは、実際に書類選考や職務経歴書のレビューを通じて、よく見かける「もったいない」パターンについてです。

職務経歴を羅列しているだけ

一番よく見かけるのは、やったことを時系列で並べているだけの職務経歴書です。

たとえば、「20XX年〜20XX年:〇〇プロジェクトでテスト実行を担当」「20XX年〜20XX年:△△システムのテストリーダーを担当」といった形で、プロジェクト名と役割を淡々と列挙しているケースです。

もちろんこれらの情報自体は悪くありません。しかし、採用担当者が知りたいのは「この人が何をできるのか」「どう貢献してくれるのか」という点です。単純な経歴の羅列だけでは、企業側のニーズとの接点が見えませんし、書類選考担当者は経歴からその方のスキルなどを想像する必要があり、それなりの「認知負荷」がかかります。それも仕事のうち、と言ってしまえばそうなのですが、応募側が少しでも書類選考通過の確率を上げようと思うならば、読み手がたまたま疲れていたとしてもスッと伝わるような書類を作ったほうが安全です。

仮に集中して読んでもらえたとしても、単純な経歴の羅列で終わっていると「経験はあるようだけど、ウチで何ができるのかがわからない」という印象になってしまいます。これでは、選考を通す理由として弱いんですね。

企業側のニーズとアピールポイントがズレている

上で述べた内容と関連しますが、募集要項に書かれている課題・やりたいことと、自分のアピール内容がズレているケースもよく見受けられます。

典型的な例として、プロセス改善や仕組み化を求めている企業に対して、「納期に遅れることなくテストを消化できました」「メンバー〇名を抱えてテスト進捗管理を行いました」とアピールしている場合などです。(このパターンは本当に多いです。)

もちろんウソを書いたり必要以上に盛ったりせず、正直に書いてくださっているのはわかります。しかし、企業が求めているのが品質保証体制の構築や仕組み化であるにもかかわらず、「テスト業務を着実にこなせます」というアピールでは、「業務をこなすだけの人」に見えてしまいます。

重要なのは、相手の求めるものを理解し、自分の経験を適切に翻訳することです。たとえば進捗管理の経験があるなら、企業が仕組み化を求めているのであれば、「効率化のための仕組み作り」という文脈で語る必要があるでしょう。前回の記事でお伝えした、求められるQAエンジニア像を理解するというのは、ニーズに対して適切なアピールをする土台になる部分です。

「貢献」の視点が欠けている

もう一つよく見かけるのは、「こんな経験があります」「こんなスキルを持っています」と書いて終わっているパターンです。

これは、私が職務経歴書レビューをしている際には必ずお伝えしているのですが、できることや経験で止まっているとやはり物足りないんですよね。採用側が知りたいのは「雇うとどんなメリットがあるのか」という点です。つまり、「貢献」の視点が必要になります。応募先の課題に対して、自分がどう解決できるのか。これを明確に示さなければ、採用担当者は「この人を通す理由」を見つけられません。

正しいアピールの構造:「課題→貢献→根拠」のロジック

ここまで、よくある「もったいない」パターンについて解説してきました。では、どうすれば採用担当者に「この人を採用したい」と思わせることができるのでしょうか。

アピールの基本構造

前回の記事で、求職者側が職務経歴書や面接で伝えるべきポイントについて構造化した図を示しました。改めてこの図を見てみましょう。

職務経歴書と面接で提示したいロジック

多くの人は下段(経歴・スキル)だけを書いて終わっています。先ほど述べた「職務経歴を羅列しているだけ」というパターンですね。

しかし、重要なのは中段(雇う側のメリット・貢献)を起点に構成することです。企業の課題を理解し、「私を雇うとこう変わります」と明確に示す。そして、その根拠として職務経歴や成果を提示する。このロジックで組み立てることが大切です。

なぜこの順序が重要なのか

なぜこの「課題→貢献→根拠」という順序が重要なのでしょうか。それは、採用担当者の視点で考えるとわかります。

採用担当者は、候補者を次のステップに進める際、「なぜこの人を通過させるのか」を説明できなければいけません。これは社内でより上位の選考官に共有するためという側面もありますし、「迷ったら不合格」が採用のセオリーとも言われています。

つまり、採用担当者は「この人を通す理由」を探しています。正直、直感で「良さそう!」と思ってから、あとからその理屈を探すというパターンもあると思います。

だからこそ、採用担当者の中で「この人を採用したら、こんな動きをしてもらって、結果こう良くなりそう」という明確なイメージが持てると、内定にかなり近づきます。経歴・スキルはあくまでもその根拠であって、過去の成果を転職した先でも再現できるだろうと思ってもらう材料です。

自分の経験を「翻訳」する

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SQRIPTER

伊藤 由貴(いとう よしき)

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テスト自動化エヴァンジェリストとして、エンジニア育成・テスト自動化コンサルテーション・部署の立ち上げ・マネジメントなどを経験。
現在は複数Webサービスを運営する会社の横断部門にて、QAエンジニアとして活動中。

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