こんにちは。ゆうゆうです。書きたいことがたくさんありますが、今回はちょっと長めのブログなのでいきなり本題に行かせていただきます。

JSTQB ALTA試験、みんなの勉強方法アンケート

前回は、「Advanced Level テストアナリスト」シラバスの改定内容と、新シラバスに沿った初めての第7回「Advanced Level テストアナリスト」試験(2022年2月12日実施、以降”第7回ALTA試験”と表記)がそれ以前の試験からどのように変化したかを、実際に受験した人の記憶をもとにまとめました。

今回は、弊社内で第7回ALTA試験を受験した7名の勉強方法を聞き取り調査をもとにまとめます。合否結果もつけておりますので、ALTA受験を考えている人の参考になればと思います。合否結果をつけるのは本人たちにとっては恐怖ですが(鬼、といわれそう)、読者の方のお役に立てるのが一番!ということで、さぁいってみましょー。

JSTQB ALTA試験、勉強方法と合否結果を大発表!

勉強方法のヒアリング対象者は、第7回ALTA試験を実際に受験した弊社メンバー7名。初回受験者から再受験者まで、様々なパターンが集まりました。なお、各メンバーが勉強の一部として取り入れている「QAアカデミー」は、弊社が提供する「AGEST Academy」のALTAシラバス解説を社内教育に取り入れている動画解説とまとめ資料コンテンツで、内容はAGEST Academyで提供される内容に沿ったものとなります。

ケースNo.1:Aさんの場合

トップバッターは、ALTA試験の受験資格(FL取得者、なおかつ3年以上の実務経験)を最近満たし、初受験に挑んだAさんです。

受験回数:1回目
勉強時間:約20時間
主な勉強方法:

  • シラバスを読む(読んだ回数は1周)
  • シラバスを自分用資料としてまとめる
  • QAアカデミー視聴
  • 社内のテスト設計者研修(テスト設計技法の基本はここで過去に学習済み)

受験後の感想:
今回JSTQB ALTAを受験し、実感したことは『圧倒的勉強不足』でした。
試験問題を解いていて、2択までは絞りこめても、そこから先の解答まで導き出せなかったため、全く身についていないことを自覚しました。
今回合格したとしても、ほぼ運によるものなので、正直、今回は不合格で、次回の試験までに勉強し直して改めて受験したいと思っています。

受験後、圧倒的な勉強不足を感じたというAさん。運では合格したくないので、いっそ不合格になってまた勉強したいと言い放った向上心がすばらしい! そして、Aさんの結果は本人の予想通り「不合格」でした(残念)。今回の経験を糧に、次回は絶対に受かってくれるでしょう。

ケースNo.2:Bさんの場合

次は、同じく初受験に臨んだBさんです。Aさんとの違いは、実務経験の差。テストに関する豊富な実務経験を持つメンバーです。

受験回数:1回目
勉強時間:約30時間
主な勉強方法:

  • シラバスを読む(読んだ回数は1周)
  • QAアカデミー視聴
  • 社内のテスト設計者研修(テスト設計技法の基本はここで過去に学習済み)
  • 参考になるサイトを使っての情報収集、無料で公開されている試験対策問題を使った学習

受験後の感想:
やれば受かる問題だな、って思いました。
結構、技法のとこばっか勉強してて、品質特性をあまり勉強しなかったのですが、やっとけばよかったな~っと。
なんか、聞いてたより技法すくな!って思いました。

受験後の感想で、開口一番「私は受かっている」といったBさん。結果も見事「合格」でした。シラバスを1周読んだだけで合格したのは、今回のヒアリング対象者の中ではBさんだけでした。できる人はやっぱ違うわぁ(筆者、心の声)。次はALTM(Advanced Level テストマネージャー)に挑むというBさん。連覇期待しております。

ケースNo.3:Cさんの場合

3人目もALTA初受験のCさん。Cさんも多くの実務経験を持つベテランのメンバーですが、前述の2名との違いは社内のテスト設計者研修でテスト技法の勉強をした経験がないという点。Foundation Level(FL)はもちろん取得していますが、その取得以来、久々にテスト技法の勉強もまたやり直した、という例です。

受験回数:1回目
勉強時間:約60時間
主な勉強方法:

  • シラバスを読む(全体を読んだ回数は1周、テスト技法のみ3周)
  • QAアカデミー視聴
  • テスト技法を手書きで表を作ってまとめる

受験後の感想:
思っていたほど「自分で考えて」の箇所がなかったような気がします。
しっかり勉強して間違えずに正しく覚えて、冷静に(ひっかけに引っかからずに)進められれば時間的にはそれほどギリギリということもなさそうでした。

なんかシラバスを読むだけでは覚えられない気配がプンプンしていたというCさん。手書きで技法をまとめるなどし、テスト技法の勉強に多くの時間を費やしています。総学習時間も多く、結果は「合格」。時間をかけて丁寧に勉強すれば1回でちゃんと合格できる、という良い例かなと思います。Cさん、おめでとー!

ケースNo.4:Dさんの場合

次もALTAは初受験組のDさんです。DさんはALTM(テストマネージャー)受験経験があり、過去のAdvanced Level受験経験がある点がこれまでの3名との違いです。

受験回数:1回目(+過去にALTMを1回受験)
勉強時間:約20時間
主な勉強方法:

  • シラバスの読み込み:6割
  • QAアカデミー視聴:3割
  • インターネットで不明点の検索:1割

受験後の感想:
テストマネジメントよりも解きやすかった印象。
今回からテスト形式が変わったので特に過去問は解かずにほぼシラバスの内容の理解だけでテストに臨んだが、テスト前の自信よりは太刀打ち出来た感触がある(受かるとは言っていない)。
今回勉強するにあたって、特に意識した部分は「暗記ではなく理解」。
そこが実際のテストにおいて、ひっかかりやすい問題にあまり躓かないようにプラスに働いたなと感じた。
次回以降に受ける人は、シラバスの各章の先頭に記載されている「学習の目的」を必ず読んで、何を理解すべきか(理解のレベルも含め)を意識して勉強に臨むといいと思う。
具体的なケース(長文問題)に関しては大半が技法の使いどころや使い方の話なので、
技法(K4レベル)については具体的な使用例をシラバス以外で調べて学ぶ必要があると感じた。あとはケアレスミスに注意。

基本的にシラバスを声に出して読み上げて、意味を理解できなかった箇所を理解できるまで読み込む。それが終わったら2周目、3周目と気になるところを読み直したというDさん(場所によっては5、6回読んだとの弁)。技法の具体例についてはQAアカデミーで勉強したとのこと。シラバスの理解に重きを置いたDさんの結果は「合格」。シラバスやテスト内容の変更を踏まえたDさんの勉強方法は、最も参考になる例ではないかと思います。この調子で、ALTM制覇(あれ?1度受けたんじゃ…w)も期待してます。

ケースNo.5:Eさんの場合

ここからは2度目の受験者の勉強法です。1人目はEさん。数年前に1度受験経験があり、間をおいて再受験したメンバーの勉強例です。

受験回数:2回目(数年前にALTAを1回受験)
勉強時間:25~30時間
主な勉強方法:

  • シラバスを読む(読んだ回数は2周)
  • QAアカデミー視聴

受験後の感想:
思ったより理解はできてたなーという印象で、特にわからなかったところはあまりないかも。ちゃんとやったつもりですが、これでだめなら全体的な理解が不足している、というかんじ。

1度目のALTA試験は、勉強不足でダメだったというEさん。今回は、試験日の2週間くらい前から1日2時間の短期集中勉強で2回目の試験に挑んだとのこと。結果は残念ながら「不合格」。シラバスは1周じっくりと読み、2周目は時間をおいてさらりと読んだというEさんですが、合格のカギはやはりシラバスの理解度なのかもしれない、と考えさせられる例でした。

ケースNo.6:Fさんの場合

2回目の受験者、2人目はFさんです。第6回ALTA試験を受験し、絶対に受かっただろうという感触だったにも関わらず不合格。リベンジを誓い2回目の受験に臨んだメンバーです。

受験回数:2回目(ALTMは取得済み)
勉強時間:約80時間
主な勉強方法:

  • シラバスを読む(3~4周ぐらい)
  • QAアカデミー視聴
  • シラバスの内容を自分なりにまとめて記憶
  • 有料の過去シラバスに沿った試験対策問題もたくさん解いた

受験後の感想:
テスト技法からシラバスの学習まで、2度と失敗したくないので時間をかけてひたすら勉強しましたが、前回まで得点源だったテスト技法の簡単な問題が出なかったのがちょっと予想外でした。
テスト技法は、テスト技法の学習ドリルなどで実際に問題を解き、それ以外の箇所は自分なりにまとめて理解を促進しました。昨年同様の試験対策+新シラバスに沿ったシラバス理解に努めましたが、手ごたえはあるものの合格の確証は初回受験よりもありません…。

前回受験の失敗がトラウマになり、石橋をたたくどころか叩き割る勢いで勉強をしたFさん。結果は「合格」でした(よかったねぇー)。Fさんは、ALTAを1度不合格になったことでより時間をかけて勉強するようになり、ALTMも取得しています。前回の不合格は無駄ではなかったようです。かけた時間の分、より理解も進んだ例ではないでしょうか。

ケースNo.7:Gさんの場合

最後は、こちらも2度目の受験Gさんです。日頃業務に追われるGさんは、JSTQB以外の試験もたくさん受験していて、勉強する時間が果たしてあったのか?とはたから見ていて一番思うメンバーです。

受験回数:2回目
勉強時間:約20時間
主な勉強方法:

  • シラバスを読む(読んだ回数は不明)
  • QAアカデミー視聴
  • シラバスの内容を自分なりのまとめて記憶

受験後の感想:
印刷したシラバスを熟読し、理解できていない用語の意味や、要約されすぎている説明箇所をWebで調べた上で情報補完、赤字で書き込み。
また、SDLCといった英字の略称は、元の英語表記を知ると非常に覚えやすかったです。
テスト技法については今回QAアカデミーにて研修を実施して頂きそちらで理解度を上げられたため、そこを土台に最新シラバスで知識をアップデートかけていった様な流れです。
また自身の持つ考えを元に回答すると、「JSTQBでは○○の様に定義している」といったパターンで誤答となるケースも多いので、あくまでテスト技法などをJSTQBがどう定義しているか、という観点で学習しました。
適用できるテストレベルやカバレッジなど、テスト技法ごとに並べられる情報も抜き出してまとめて理解しました。
今回シラバスが更新、出題範囲も変わり、長文問題が非常に多かった印象が強かったです。じっくり問題を読んでいては、時間がまるで足りなかった為、全般にわたって流し読みしての回答になってしまいました。
合格するかどうか五分五分といった所感です。今回2回目の受験ですので、なんとか合格したいです。

「全然勉強してないよ、頭に入らないよ~」と周囲を油断させていたGさんですが、勉強はきっちりやっていたようで、結果は「合格」。かけた時間よりも勉強法がやはり大事、という良い事例ではないでしょうか。自分の感覚ではなく、JSTQBがどう定義しているかという観点での学習も大切、という点はとても参考になります。

2回目の受験者は、前シラバスに沿った試験内容もわかっていることが逆にあだとなり、あてが外れた部分もあったという声が聞かれました。ISTQBで公開されている下記PDFでは、シラバス改定により試験の構造(どの章から何問でるか+点数配分)がどう変わったかが調べられます(ALTAの情報は9ページ付近を参照)。試験勉強の方針を決める際に役立ちますので、これから受験する方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

■ISTQB_Exam-Structure-Tables_v1.3_0B8J4Gi.pdf
https://istqb-main-web-prod.s3.amazonaws.com/media/documents/ISTQB_Exam-Structure-Tables_v1.3_0B8J4Gi.pdf

ALTA合格につながる勉強法とは?

ここまで7名それぞれの勉強方法を紹介してきました。人によりやり方は違いますが、合格につながる勉強方法には以下のような共通点があるようです。

シラバスを理解できるまで読み込む

シラバスがどう定義しているのかを理解することが大切で、自分の実務経験や感覚で答えを導くと、本来テストアナリストの職責ではない答えを選んでしまうミスも起きがちです。
声を出して読む、紙にプリントしてマーカーや書き込みをしながら読む、自分なりにシラバスをまとめるなど、自分にあったシラバスの読み込み方を見つけるとよいでしょう。シラバスの日本語訳がどうもしっくりこない、という人は英語版シラバスを読んでみるのも理解を助けるひとつの方法です(英語が得意ならば、ですがw)。

過去の試験対策ではなく、新シラバスに沿った試験対策をたてる

第7回ALTA試験のように、シラバス改定後の試験では過去の出題傾向や対策問題を解くなどの過去の勉強法だけで合格を目指すのは危険です。テストアナリストに必須のテスト技法は、基本の理解や応用問題に対応する力をつけることが合格につながります。また、新シラバスで記載が増えた部分は試験に絶対に出ると考えたほうが良いでしょう。旧シラバスからの改定箇所を調べその理解を深める、といった新シラバスに基づいた勉強をすることが大切だと感じました。

合格がゴールではない

弊社受験者はこの7名がすべてではありませんが、自社教育コンテンツ(QAアカデミー)の助けもあり、今回ヒアリングしたメンバーのうち5名が合格という結果でした。とはいえ、試験はあくまでも勉強のきっかけを与えてくれるものであり、合格がゴールではありません。合格した人は、ここで得た知識をいかに業務に生かすかが本当の勝負だということを、自戒の念も込めて〆の言葉とさせていただきます。

“家に帰るまでが、いや業務に生かすまでがALTA試験合格ですよ”

では、またー。

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