はじめまして!
QA業界23年のテストエンジニア『つよぽん』です。
今回、ブログ初挑戦となります。最後までお付き合いください。
さて、今回は2023年にCBT化された『JSTQB Advanced Level Test Analyst』(以下、ALTA)の合格体験記です。ALTAの受験~合格に至るまでの体験をまとめました。
これからAdvanced Level(以下、AL)を受験する方のお役に少しでも立てることができましたら幸いです。
Test Analyst 受験までの道のり
2000年からテストエンジニアとして働き始め、2011年に Foundation Level(以下、FL)を取得しました。
2013年の第2回 Advanced Level Test Manager(以下、ALTM)を受験。結果は『不合格』でした。また第2回試験の合格率が6.86%と低かったことや、以下の悩みどころもあり、その後試験を受けることに慎重になってしまいました。
私にとってのJSTQB試験の悩みどころ ・受験料が少々高い(22,000円) ・試験の回答が公表されないのでどこを間違えたかわかりにくい ・過去試験問題がほぼ非公開、問題集が少ない
そこから9年 私が、AL試験を再度受けようと思ったのは、2022年8月に現在の会社へ転籍したことが大きなきっかけです。
再受験に向けた問題点、それは以下3つのでした。
学習 → どうやって勉強すればいいだろう? | |
資金 → 22,000円の試験料が少々高い | |
メンタル → AL資格取得は本当に必要か? |
解決したのは以下によるものでした。
『学習』 e-learningの提供
ALを受験するための学習コンテンツ(e-learning)が弊社にありました
⇒ これで学習しよう!!
『資金』 会社からのバウチャーチケットの提供
会社から1回分のバウチャーチケットが提供される
⇒ バウチャーを1回分貰えるならタダで受験できる!!
『メンタル』 組織目標によるモチベーションアップ
ALの取得目標が組織として設定される(おじさんには結構良い効果)
⇒ 会社からのPUSHでキャリア的にもAL持ってないといけないと奮起!!
以降は、AL取得に向けた再受験のお話となります。
JSTQBの受験経歴
私のJSTQB受験履歴を並べてみます。
Ⅰ.FL受験(2011年8月/合格)
Ⅱ.ALTM受験(2013年2月/不合格)
Ⅲ.ALTA受験(2023年5月/不合格)
Ⅳ.ALTA受験(2023年8月/合格)
今回のAL受験では、この10年で業務として関わりの深かった分野である『Test Analyst』を受験することにしました。
Test Analyst 受験(1回目)の失敗談
1回目のALTA受験は2023年5月にCBT化されたものでした。テストの感触としては悪くない。それなりにできた印象でしたが結果は不合格でした。
受験に向けて準備したことは以下の通り。
問題数:40問
総試験時間:135分 (NDA 5分 + 試験 120分 + アンケート 10分)
▶シラバスの読み込み
問題はシラバスに沿って出題されるため、シラバスを熟読(3回)
▶弊社 e-learningによる学習
シラバス読み込み後に講義形式、問題形式による学習の実施
ペーパー試験世代のためCBT試験が苦手、事前に操作の把握
また反省点を考えて、次回に備えました。
【反省点】
- 試験概要の把握しか出来ていなかった
- 全体をまんべんなく学習してしまった
- CBT試験の経験不足(ペース配分、操作など苦手感が拭えなかった。)
“失敗した経験も次に生かすための大事な財産として心に留めます!”
Test Analyst 受験(2回目)の成功談
一番初めに、どうしたら合格できるかを「考えること」から始めました。
そこで導き出した結論が以下となります。
其の壱:戦略を決めよう
資格試験もテストと同じ!戦略を決めてからスタートすることとしました。
今回の戦略は資格試験の定番 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓で決定
『敵を知り、己を知れば、百戦して殆うからず』(孫子)
其の弐:具体策を練ろう
戦略も決まったので次は戦略に沿った具体策を考えました。
『敵(ALTA)を知る』
まずは敵を知らなくては戦えない。徹底的に敵を把握して、分析しよう!!!
出題傾向の分析
▶ どこが何問出るの?
ISTQB公式サイトのExam Structure Tables v1.6をチェックすべし!
試験ごとの出題配分がChapter単位で公開されています。
上記の『Exam Structure Tables v1.6』のALTAの問題数をまとめた結果は下表となります。
Chapter | 問題数 |
---|---|
Chapter1 | 6問 |
Chapter2 | 1問 |
Chapter3 | 17問 |
Chapter4 | 11問 |
Chapter5 | 3問 |
Chapter6 | 2問 |
合計 | 40問 |
配点傾向の分析
▶ 問題の配点はどうなっているの?
ここでもISTQB公式サイトのExam Structure Tables v1.6をチェックすべし! 試験ごとの問題配点もChapter単位で公開されています。
『Exam Structure Tables v1.6』のALTAの問題配点をまとめた結果は下表となります。
Chapter | 配点 |
---|---|
Chapter1 | 10点 |
Chapter2 | 2点 |
Chapter3 | 44点 |
Chapter4 | 15点 |
Chapter5 | 6点 |
Chapter6 | 3点 |
合計 | 80点 |
合格ラインの分析
▶ 何点取れば合格できるの?
問題数40問、総点数は80点!合格点はISTQBに準拠することより65%なので・・・
80点×65%= 52点 すなわち52点で合格です。
合格点に到達するための分析
▶ 合格点に到達するためにどの問題を何問正解すれば合格できるの?
そのためにはChapterごとの配点とK Level(配点の高い問題)の出題数を分析!!
Chapter | 問題数 | K2 | K3 | K4 |
---|---|---|---|---|
Chapter1 | 6問 | 4 | 0 | 2 |
Chapter2 | 1問 | 0 | 1 | 0 |
Chapter3 | 17問 | 3 | 1 | 13 |
Chapter4 | 11問 | 9 | 0 | 2 |
Chapter5 | 3問 | 0 | 3 | 0 |
Chapter6 | 2問 | 1 | 1 | 0 |
点数が高いChapterは以下2つです。
- Chapter3(テスト技法)=44点
- Chapter4(ソフトウェア品質特性のテスト)=15点
この二つをマスターすれば 44 + 15 = 59点 となり、これだけで合格ラインに達します。
さらにK Levelも含めて分析するとChapter3(テスト技法)のK4 Level(配点3点)は13問出題されるので39点になります。これだけでも合格点の3/4がとれます。
K3 = 3問(9点)のChapter5(レビュー)も配点が高いのでおススメです。
なんかこの分析だけで合格できそうな気になりませんか?
『己(自分)を知る』
敵を知ったその上で、己(自分)を知らなくても勝つための戦いはできません。
自分の得手・不得手を徹底的に分析しましょう!!!
得手、不得手の分析
▶ 何を得意としているか?(自問する)
私の場合・・・
- テスト技法など考えて解くものはモチベーションアップするし、理解しやすい
- 品質特性など業務で関わった部分は把握しやすい
▶ 何を不得意としているか?(自問する)
私の場合・・・
- シラバスの理解が苦手(特に業務で関わってこなかった分野)
- ケアレスミスが多い(正しいものと、間違っているものどちらを選ぶかのミス)
得手、不得手の分析結果より導いた対応策
私の場合・・・
- テスト技法は問題集の捜索・確認する
- 品質特性などは過去業務に照らし合わせて学習する
- シラバスは読むだけでなく自分で書き出しまとめてみる
- ケアレスミス対策として、問題の読み方を改善(何を回答するかを先に見る)
“得手・不得手は人によって違う。自分を理解して、自分に合った対策を実行することが大事!”
『百戦して殆うからず』
何度、受験しても合格できるようにするべし。そのための対処法を考えましょう!!!
目標を合格ラインのギリギリに設定しない
合格点(52点)に対して、確実に合格するよう学習しましょう。
「多分取れるだろう」を含めての目標では不合格リスクが高い!!
学習のピークを試験日に持っていく
学習計画を立て、学習のピーク(一番まとまって学習できる)日程で試験を受けるべき。
其の参:モチベーションアップ対策を考えよう
合格をより確実なものにするために、モチベーションアップする案を検討!!
みなさんはどんな場合にモチベーションがあがりますか?
私の場合は以下設定をしました。
合格時の成功報酬の設定
合格時に自分へのご褒美を設定。これだけでモチベーションは爆上がりです。
合格した場合のメリットの分析
合格した場合に自分にどんなメリットがあるかを考える。
- 『新たな学習チャンス』:次のスキルアップに向けた時間を確保できる
- 『業務的なアピール』 :資格保持を業務的なアピールとして使える
其の四・計画に沿った学習
今回の戦略・計画に沿って、5月中旬~8月下旬(2か月半)で以下の追加学習を行いました。
配点の高いテスト技法についても、問題集をこなし、取りこぼしのないように準備をして試験に臨みました。
No | 追加学習 | サイト |
---|---|---|
1 | シラバス (前回テストで出題された内容) | https://jstqb.jp/syllabus.html#syllabus_advanced_altta |
2 | JSTQB公式サイトのAL試験過去問題の解説 セミナー(TA)視聴 | https://www.youtube.com/watch?v=IWUkunUZNoA |
3 | ソフトウェアテスト技法練習帳 | https://gihyo.jp/book/2020/978-4-297-11061-1 |
4 | JSTQB(非認定)ソフトウェアテスト問題集 (Advanced Level Test Analyst) | https://learner-jstqb-al.booth.pm/items/3105863 |
5 | JSTQB e-learning (再確認) | https://agest.co.jp/academy/ |
試験当日~結果判定
試験当日は、『やるべきことはやった。いい状態』で迎えられました。
手ごたえは以下です。
- 時間配分:試験時間を30分残して見直し開始、見直し含めて3分前に完了しました
- 試験内容:戦略・計画がハマった。一度受験した経験も追い風になりました
- 合格予想率:80% ⇒ 試験結果は約2週間後。申し込みサイトのボタン一つで結果がわかる
今回は予想率通りの結果『合格』でFINISHできました。
まとめ
JSTQB認定テスト技術者資格は、知識やスキルを体系的に学ぶことができます。
今回受験したALTAはFLで学んだ知識をより拡張したものとなります。より深く、広い知識を得ることで、業務に対しての理解度や共通認識での会話力が高まり、テストエンジニアとして、良い成果に導いてくれるものと思います。
また知識を有していれば資格は不要という方が多々見受けられますが、仕事の初見では、知識の有無は詳細に計れないところがあります。そのために資格という目に見えるものは知識の有無を示すのに有効であると考えます。
ソフトウェアテスト業界でFL取得が当たり前となる昨今、AL取得が次のステップとして必要になってきています。皆さんも、自分に合った戦略・計画を整えて学習することにより、JSTQB AL資格を取得しましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!