
ソフトウェアクオリティマネージャーのアイネイドです。昨今、業界にはテスト自動化の波が来ており、顧客からのテスト自動化に関するご質問やご相談を受けることがあります。
そこでテスト自動化の知識をつけるために丁度よい資格試験はないものかと探していたところ「JSTQB Advanced Level テスト自動化エンジニア」という資格に辿り着きました。
本記事では「JSTQB Advanced Level テスト自動化エンジニア」試験自体についての説明および、合格に至った学習ポイントについてお話したいと思います。最後までお付き合いいただければ幸いです。
JSTQB AdvancedLevel テスト自動化エンジニア
JSTQBとは何か?
まずJSTQBについて知らない読者もいらっしゃると思いますので簡単に説明をします。日本におけるソフトウェアテスト技術者資格認定の運営組織として2005年4月に認定されました。各国のテスト技術者認定組織が参加しているISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の加盟組織の一つになります。
「JSTQB Advanced Level テスト自動化エンジニア」について
本資格名である「テスト自動化エンジニア」の定義は、
テストについて汎用的で幅広い知識を持ち、テスト自動化という特定の領域につい て深く理解している者を言う。深い理解とは、組織および/またはプロジェクトが機能テストのために自動化ソ リューションを設計、開発、保守する際に、方向付けとして使用できるテスト自動化理論とプラクティスについて、 十分な知識を持っていることと定義される。
後述のシラバスより抜粋
となります。テスト自動化レベルの考え方から、ソリューションとしての運用方法まで幅広く抑えている内容となっており、コンサルタントとしての提案・マネージャーとしての運用まで実務で使うことができる「Specialist」として役立つ資格になっています。
なお「テスト自動化エンジニア」はAdvanced Levelのため、受験するためには「JSTQB認定テスト技術者資格Foundation Level資格試験の合格者、又は JSTQB (日本) 以外の Foundation Level 資格試験の合格者」である必要があります。ちなみに受験料は22,000円(税込)でした。
また、今回の試験は「期間限定」「受験回数制限(1回)」だったため、2024年8月1日(木) から 2024年10月31日(木)(約3ヶ月間)の期間中に一回のみ受験可能となっていました。恒常化する可能性があることは言及されていましたが、次回も期間限定である可能性がありますので「テスト自動化エンジニア」資格の取得を希望する方はアンテナを高くしておいた方がいいでしょう。
学習対象のシラバスと最小学習時間目安
学習対象となるシラバスは下記URLで公開されております。
■テスト技術者資格制度 Advanced Level シラバス テスト自動化エンジニア
https://jstqb.jp/dl/JSTQB-Syllabus.Advanced_TAE_Version2016.J01.pdf
ちなみにシラバスには章毎に学習最小時間の目安が設定されており、総合計で1170分(約20時間)となっております。これは例えば平日一日一時間の学習で約一ヶ月ということなので個人的には比較的着手しやすい資格といった印象です。

(あくまで個人的な)合格するための学習ポイント
まず最初に。受験の際に秘密保持契約(NDA)を結ぶため、このコラムで試験問題や解答を示すことはありません。もし期待していた方がいましたら申し訳ございません。ただ、後述の学習ポイントを抑えることで解答しやすかったように感じましたので参考になれば幸いです。
Point1. まず頭文字の略語を把握しよう
シラバスを読み始めて一番最初に思ったのがこれになります。シラバスの文章では複数の頭文字の略語が使われているのですが、似たような頭文字の略語が多いためきちんと把握してからシラバスを読み始めないと略語の意味を取り違えることが往々にあります。例えば頭文字が「TA」(Test Automation = テスト自動化)で始まる略語にはTAA、TAE、TAF、TAM、TAS等があり、略語の後に()付きで説明のように親切に記載されておらず、文章中に頻繁に登場するため時々混乱することになるでしょう。頭文字の略語を見ればすぐにイメージができる程度までしっかり覚えこんでからシラバスを読み始めるとよいでしょう。また、シラバス内の略語に関する説明はしっかり読み込んでおくことをおすすめします。

Point2. 先頭から順にシラバスを読んでいこう
他の資格であると「まずこの章から学習しよう」のような物があると思いますが、「テスト自動化エンジニア」のシラバスにおいては順番に読んでいくことをおすすめします。これはおそらくシラバスが認定コース用教材としての章立てを最初から意識して構成されており、順番に読んでいくことにより順次習得しやすく構成されているためになります。
Point3. 図をしっかり頭に入れよう
シラバス内には少ないですが図がいくつか載っています。ただなんとなく図を見るのではなく、せっかく図になっているのですから、「矢印があればどこからどこにひかれている矢印なのか」や、「枠で括られている場所・中に何が記載してあるのか」を意識してはしっかり覚えておきましょう。単に文章を丸暗記するより断然効率的で頭に入っていれば問題に対して応用が効くことでしょう。

Point4. キーワードは表にまとめよう
人によるとは思いますが、私としてはシラバスで形式立てて記載(「3.2.2 テスト自動化へのアプローチ」のようなの主な概念・利点・短所など)をされている部分に関しては自分の言葉で表形式化することで理解しやすくなりました。長い文章を長いまま暗記するのはあまり現実的ではないので、一度試してみてはいかがでしょうか。
考察・まとめ
いろいろと学習ポイントについて話させていただきました。
テスト自動化エンジニアは個人的にはとっつきやすく、仕事に役立ち、興味のある分野であったこともあり楽しく学習することができました。
Advanced Levelではありますが、難易度はそれほど高いわけではなくシラバスのボリュームも程々なので皆さんも一度取り組んでみてはいかがでしょうか。
本ブログを最後まで読んでいただいてありがとうございました。