2024.06.24更新

こんにちは、エンジニアのタカです。

普段はスクラムマスターや開発者としてプロダクトの開発に関わっています。

今回は、自身が所属する開発チームで起きたコミュニケーションの課題を解決した バーチャルオフィスツール Gatherについて、導入前後でどのようにチームに変化があったのかを紹介したいと思います。

チームのコミュニケーションの課題

開発チームが2023年夏頃に行った振り返りで、特に新しくチームに入ったチームメンバーからコミュニケーションの敷居が高いという意見が上がりました。

チームメンバーはオフィスや遠隔地の自宅などそれぞれ異なる場所で働いており、会話を伴うコミュニケーションツールはSlack(ハドル) とGoogle Meetを使用していました。

これらのツールでは、話す前に「通話いいですか?」などを一度Slackチャンネルに投稿してから行なっており、会話へのアクションが段階を踏むことで気軽に行えないという意見が上がりました。

そこで、解決策の一つとして上がったのがバーチャルオフィスツール※1でした。

もちろん、出社時にコミュニケーションを取ることで解決する部分はありますが、遠隔地で勤務しているチームメンバーも含めて常に全員が揃う機会は少なく、今回試すことにしました。

※1:仮想のオフィス空間 = ワークスペースにチームメンバーがアバターとして表示され会話やチャットを行う。まるでオフィスに居るように人(アバター)の動きが可視化されるのが特徴

Gatherとは

Gatherとは、仮想空間「メタバース」を構築して人々が働き、交流し、学ぶことを可能にする空間です。ユーザーは自分に合わせた交流スペースを作成することができます。

例えばバーチャルオフィス、パーティ会場、カンファレンス、学校なども作ることができます。

今回私たちが検討したのは「バーチャルオフィス」としての利用です。

バーチャルオフィスツールは数多くありますが、無料プラン※2をチームで使って比較検討を行い、最終的に以下のような理由からGatherを使うことに決めました。

  • 操作性
    • アバター移動の操作性とレスポンスがよく、使っていてストレスが無かった
  • 親しみやすさ
    • ワークスペースが上から見下ろすタイプのドット絵で描かれた2Dで、キャラクターもドット絵で馴染みやすい
    • 筆者を含む2Dゲーム世代(?)のメンバーのウケがとても良かった

※2:この記事を書いている段階ではGatherは最大10名まで無料

Gatherを触ってみての感想

以下、Gatherの導入にあたり設けたチームルールと、主な機能を使ってみての感想になります。

導入したチームルール

  1. 定例MTGを含む、全てのチームコミュニケーションはGather内で行う
    • 機密に関わる話、チーム外のメンバーを交えたMTGなどは除く
  2. ステータス状態を逐次変更する
    • ステータスはコマンドで変更でき、誰が不在かが分かりやすいため

主な機能の使用感

1. アバターでのコミュニケーション

Gatherを選んだ理由の一つでしたが、アバターの操作性、レスポンスがよいです。

またチームメンバーの今の状態が一覧で見れることで「あの人は今誰かと話している」「話しかけて大丈夫そう」など現実のオフィスに近い感覚で状況把握ができるようになりました。

誰かと話して別の人を呼びたい時も、手を振るという機能を使ってすぐに通知が飛ぶので、ストレスなくコミュニケーションを行うことができました。

2. ビデオ通話(多人数、少人数)

ビデオ通話の品質は、meetと比較しても特に遜色はありませんでした。MTGルームや各自席周辺などのフォーカスが当たる部分に入ることで、その部分に居るメンバーはシームレスに通話に移行するので使いやすいです。

ただし、人数が増えると、PCスペックや回線によっては、ビデオをONにしたときにややPCが重くなるケースがあったため、その場合はビデオを切ってMTGしてもらうなど対策を行なうことでこの問題は解消されました。

なお、フォーカスの無い場所ではアバター同士を近づけると話せますが、基本的に各自の席周辺や大きなフォーカスエリア(MTGルーム)で話すことが多くなったため、立ち話のように何も無い場所で会話することは少なくなりました。

3. デスクトップアプリ

個人的に、Gatehrはデスクトップアプリがとても使いやすいと感じました。

アプリはミニモードという表示が行え、Gatherからフォーカスを外した時はデスクトップ上に自分のステータスが最小表示されます。このときに誰かが自分の居るフォーカス部分に来ると、ミニモードのままで通話ができます。

常に画面を出しっぱなしにしても良いのですが、集中したいときは気になるので、このモードのおかげでリモートワークのメリットと、オフィスワークのメリットの両方が満たされると思いました。

なお、この状態でキャラクターを動かすことはできないので、MTGルームに行くなどの際は、Gatherアプリを選択してキャラクターを動かします。

4. その他機能

GoogleカレンダーやSlackとの連携、Gatherへの外部アクセス制限、ゲスト招待機能、オフィステンプレートの編集機能などを使用しています。

この中のGoogleカレンダー連携は、予定の数分前にデスクトップに通知を出せるようになるので、MTG参加忘れに役立ちます。

コミュニケーションに起きた変化

Gahterを使い始めてすぐにコミュニケーションの変化を実感しました。そのうち、特に実感したことをいくつかピックアップします。

良い方向に変わったこと

1. コミュニケーションコストの低下

振り返りで課題として上がっていたコミュニケーションの敷居の高さは無事解消されました。

Slackで一言投稿するよりも、話しかけてOKのステータスの人に近寄って呼び出すことは心理的ハードルが低いという意見がありました。

また、アバターだからか誰と誰が話しているかも分かりやすくなり「朝会で報告した問題点について有識者と話していそう」など状況が掴めるようになりました。

2. MTGへのシームレスな移行

MTGをGatherで行うことにより、MeetなどのMTG用ツールの起動が不要になりました。

全員でMTGを行う際は、オフィスのように全員が集まれるエリアに移動するだけでMTGが行えるので、特にストレスなく開始できます。

議事録やチャットもGather上のホワイトボードに記録でき、全体向けに共有が必要な場合はその場ですぐに共有ができるので、プロジェクトで必要なコミュニケーションは、基本的にGather上で動作が完結できます。

気になった点

1. コミュニケーションコスト低下により、作業時間が減るメンバーが出てきた

メリットと表裏一体ではありますが、気軽に会話をしやすい環境になったため、特にコアメンバーへは相談や質問でのコミュニケーションコストが生じ、作業時間が減少するという問題が起きました。

設計やレビューなどの必要なコミュニケーションが増えることは良いことですが、本来は自分で解決できるような簡単な質問も増えてしまう傾向が見られました。

リモート、オフィス関係なく基本的なことではありますが、質問する場合のルールを決めたり、優先作業に集中したい場合は応答不可にして貰うルールを設けることを検討しています。

2. リモートメンバーとオフィスメンバーが混在する場合の取り決め

オフィスに出社しているメンバー同士ですと、わざわざGather上で話すよりも直接話すことが多いため、リモートメンバーからは状況がつかめなくなります。

弊社はフリーアドレス席のため、固まって仕事をすることはほぼ無いのですが、出社中の場合はステータスを記入してもらうことで状況をリモートメンバーにも明示することを検討しています。

おわりに

今回の内容は以上となります。

バーチャルオフィスツールは初めて使いましたが、結果的にコミュニケーションに対する敷居が格段に下がり、リモートワークにおけるメンバーの満足度が向上しました。

主にリモートワークでコミュニケーションに課題があるチームは一度使ってみる価値はあると感じたので、気になった方はぜひ一度試してみてください。

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