この連載は、登場して20年が過ぎ、成熟期を迎えつつある「アジャイル開発」を解説します。アジャイル開発については、世の中にたくさんの書籍や情報があふれていますが、アジャイルコーチとして10年以上の現場経験をもとに、あらためて学び直したい情報を中心にまとめていきます。
第4回目のテーマは、前回と同じく「従来型開発とアジャイル開発の違い」となり、前回とは異なる観点で比較を続けていきます。
この内容はUdemyで公開しているオンラインコース「現役アジャイルコーチが教える!半日で理解できるアジャイル開発とスクラム 入門編」の内容を元にしています。
見積もりと計画づくりの比較
見積もりと計画づくりを比較してみましょう。見積もりと計画づくりは、チーム運営でとても重要な要素だと思います。ただ、ここにも大きな違いがあるため、従来型のプロマネ経験者であれば、アジャイル開発のやりかたに少し困惑する部分があるかもしれません。
繰り返しになりますが、従来型は、作るものが決まっていて、計画を長く見通せるものが得意です。よって、リリースから逆算して計画を立てて行くのが基本になります。
やることが決まっているので、この方法が通用しますが、逆に言うと、プロジェクト初期にやることを洗い出せない場合は、うまくスケジュールを作れません。おそらく定番なのは、「経験上これぐらいかかる」とざっくり工数を見積もり、スケジュールを立てる方法でしょう。ただ、このやり方だと、早期に見積もりを正確にしなければ、やることが意外にも大きくなってしまった場合、大きなリスクになります。
アジャイル開発は、短いリリースを繰り返していきます。アジャイル開発は、小さな成果物をちょっとずつリリースしていくので、ゴールまで成果を積み上げていく形のスケジューリングになります。
短いリリースは、タイムボックスで管理を行います。タイムボックスとは、固定の時間、固定の人数という箱をイメージしてください。この箱の中にやること(ユーザーストーリー)を詰め込み、小さくリリースを繰り返していきます。何を入れるべきかを考えるために必要なのが優先順位です。
プロジェクト期間の比較
プロジェクトの期間を比較します。アジャイル開発の場合は、プロジェクトじゃない場合もあるので、開発サイクルを比較します。
これまでになんども解説してきましたが、従来型は大きな開発を扱うのが得意なので、中長期的なプロジェクトが多くなります。従来型では、中途半端なプロダクトやシステムは顧客が望まないので、プロジェクトの中で完成を目指します。
アジャイル開発は、短くて1週間、長くて1ヶ月ぐらいの短期的な開発を繰り返していきます。小さく作って、大きく伸ばしていく方法です。この特性を生かした開発は、プロダクトを作りながら考え調整していくスタートアップでとても有効です。
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