異業種から未経験でQA業界へ転職!前職の経験はQAエンジニアとしてどのように活かせるのか?

はじめまして!テストエンジニアのずっきです。

昨年、異業種からQA業界に転職し、現在はQA事業に携わる部署でテスト実施および設計業務に従事しています。将来は、テスト計画から完了に至る一連のテストプロセスを管理できるプロジェクト管理者を目指して、日々精進しながら業務に取り組んでいます。

今回は、そんな私が異業種からQA業界へなぜ転職を志したのか…転職においてどのような不安があったのかを、私と同じく異業種からQA業界への転職を考えている皆さんの一助となるようにブログに綴らせていただきます。

これまでの経歴について

私は、管理栄養士として病院勤務経験を経て、異業種の品質保証業界に転職しました。現在は、テスト実施および設計に携わり、高い品質保証を提供できるQAエンジニアになるべく奮闘しています。

前職について

職種:病院管理栄養士

業務内容:病院食の献立作成、栄養管理、栄養指導など

異業種からQA業界への転職

自己紹介にも記載した通り、長らく管理栄養士として従事していましたが、将来のキャリアパスに不安を抱くことが多く、以前から興味があったITエンジニアへの転職を考えるようになりました。ITエンジニアに関するスキルや経験がなく、強みとなるものがない…このような理由から行動に移せずにいましたが、生活環境が変わった節目に、ITエンジニアへの転職を強く志すようになりました。

転職に当たっての不安要因と解消法

異業種への転職にあたって「自分に適性がなかったらどうしよう…」「想像していた仕事と違ったらどうしよう…」「自分に務まるのか…」など、さまざまな不安がありました。そこで、短期のプログラミングスクールに通い、実際に体験したことで、さらにエンジニアとして活躍してキャリアを築きたいと強く思うようになりました。

スクールでは、基本的なプログラミングスキルを習得しましたが、最大の収穫は「自分にエンジニアとしての適性があるかどうか」を自覚できたことです。特に、転職活動中に重視していたのは、前職での思考や能力が活かせるかどうかでした。異業種かつ未経験の私にとって、何が武器になるのかを模索した結果、前職で培った思考や能力がQAエンジニアとして最適であると実感しました。

前職の経験がQAエンジニアとしてどのように役立っているかについてお話しする前に、まずはQAエンジニアの仕事内容や役割について簡単に確認しましょう。

QAエンジニアとは

QAとはQuality Assurance(品質保証)の頭文字です。QAエンジニアとは文字通り、システムやソフトウェアの品質管理業務を通じて、品質を保証するエンジニアです

QAエンジニアの仕事内容とは?年収や必要資格を解説

つまり、普段使用しているアプリケーションやシステムが問題なく使用できているのは、開発した製品が市場に出る前に、テストされて品質が保証されているからです。

QAエンジニアの役割

ITシステムやアプリケーションはSEやプログラマーなどのITエンジニア職により設計・開発が行われます。QAエンジニアは、開発されたシステムやアプリケーションが設計通りに作られ期待通りに動作するか、使いやすい仕組みかを確認し、問題がある場合は是正に繋げる役割を持っています。

QAエンジニアとは?仕事内容や将来性を解説

異業種時代のこんな思考、習慣、経験が役に立つ!

1. 学習習慣

前職では、病院で栄養士として患者さんの栄養管理業務に従事しておりました。栄養管理業務では、病気に関する知識や薬と食事の相互作用、禁忌などの医療に関する知識が必要不可欠です。そのため、日々の生活の中で「学習時間」を確保する習慣を確立しました。

学習習慣の形成には、下記のようなメリットがあります。

  • 習慣化により、集中して学習に取り組むことができる
  • 学習することに抵抗がなくなる
  • 自分に適した学習方法が確立される

▼学習習慣がなぜ重要なのか?▼

専門性を高めるためには、「学習」と「経験」が重要だと感じてます。特に学習は参考書や動画教材などで効率的に知識を吸収できる方法です。

異業種・未経験から現在の品質保証会社に入社し、様々な専門スキルの重要性を実感しました。特に、QAエンジニアの知識を提供する「JSTQB Foundation Level資格」は、実施業務や設計業務に従事する者にとって基礎的な知識が体系的に記載されており、QAエンジニアであれば取得推奨の資格です。私もこの資格を取得しましたが、テスト活動がどのような要素で構成されているのかを理解することで、業務の目的を明確に認識できました。また、テスト設計時のテスト技法にも役立てています。資格を取得することでスキル向上だけでなく、第三者に自分のレベルを証明できるメリットもあります。

2. リスク管理

病院という特殊な場所では、ミス(誤り)が患者の生命に直結します。たとえば、アレルギー物質の混入を予防するには、混入しにくい環境を整える必要性があります。そのためには、リスクの識別・調査・対策を行う必要があります。

▼リスク管理がなぜ重要なのか?▼

品質保証でも、将来起こりうるリスクを過去の事例や経験から推測して、対策や予防を行うことでリスクを回避・軽減することができます。また、プロダクトリスクだけでなくプロジェクトの進行上のリスクも発生します。たとえば、テスト実施業務において計画していたスケジュールと実際の進捗に乖離があり、期限までにテストが完了できないといったプロジェクトリスクが考えられます。テスト実施の早い段階で、期日までに完了が困難であると識別できれば、原因を調査します。たとえば、テスト実施者の経験不足な場合もあれば、テスト対象に不具合が多発していて実施業務が中断している場合もあるでしょう。適切な対策を講じてリスク回避や軽減を図ることができます。

3. 情報収集力

前職の業務の一つに、「栄養管理」という業務がありました。栄養管理とは、入院患者の栄養状態や食事摂取状況をもとに、病状に合わせた栄養評価を行い、食事内容や食習慣のアプローチを決定して栄養状態を改善することが目的です。

栄養状態を改善するためのアプローチを決定するにあたり、電子カルテから現在の栄養状態を正確に確認するだけでなく、症例と比較して今後の栄養状態を予測し、対策を考えることも必要です。客観的なデータだけでなく、患者さんからの聞き取りを行うことで、より個々に合わせたアプローチ方法の策定に役立てることができます。

▼情報収集力がなぜ重要なのか?▼

QAエンジニアは、テスト活動全体のプロセスに関与します。テストプロセスは、計画、分析、設計、実装、実行などのテスト活動で構成されています。例えば、テスト設計では対象システムの仕様把握を行いますが、実際の現場では完全な仕様書がないことが多いため、テスト設計者として仕様書に記載のない仕様や、欠落していたり曖昧な部分を特定することも重要です。仕様の欠落、矛盾、曖昧さに対して、すぐに開発者や管理者に確認を求めるのではなく、他のテストベースを参照したり、あるいは開発者側で作成されたシステムアーキテクチャやコードを分析し、自分で不明点を補うことが求められる場合もあります。また、既存システムの回帰テストでは、過去のドキュメントやステークホルダーとのやり取りからシステムに関する情報を収集することもあります。収集した情報は、製品の品質に直結するため、最新バージョンの仕様であるかの確認を慎重に行う必要があります。

4. 文章力

前職の業務の一つに「栄養指導」という業務がありました。文字通り、患者さんの病態に合わせた食事の取り方について指導・アドバイスを行います。栄養指導でやり取りした内容や目標設定は、200文字程度でまとめてドキュメント上に記載します。その際に、重要な情報を簡潔にまとめ、第三者も理解できるように記載することが重要でした。また、次回の栄養指導時に評価できるように定量的に情報を記載する能力が求められていました。

▼文章力がなぜ重要なのか?▼

テスト実装フェーズでは、明確なテスト手順や期待される結果の記載が必要です。不明確な手順や曖昧な期待結果では、テストの結果として合格/不合格の正しい判定ができず、誤った判定をしてしまう可能性があります。そこで重要になるのが「文章力」です。

下記例を参考に文章力の重要性を解説します。

例)「自動販売機に硬貨を投入したらパネルに投入額が表示される」といった機能

テスト手順期待結果
手順1. 10年前に買ったお気に入りの財布から硬貨を出す
手順2. 硬貨を入れる
手順3. パネルの表示を確認する
金額が表示されていること

上記のテスト手順と期待結果には修正が必要な個所がいくつかあります。

  1. 不要な手順
    テストの目的は対象機能の表示確認(投入した金額がパネルに表示されること)であり、手順1の「10年前に買ったお気に入りの財布から硬貨を出す」はテストの目的に関係ない情報であり、余計な内容です。不要な手順や冗長な文章は、テスト実施者を混乱させ誤った結果を招く可能性があります。
  2. 不明確な定義
    手順2の「硬貨を入れる」では、具体的な硬貨の種類が明記されていません。「日本円」「USドル」あるいは「ゲームのコイン」など、硬貨の種類が不明瞭です。硬貨の種類が明確でないと、誤った硬貨が使われた場合にテストが不合格になる(偽陰性)可能性があります。
  3. 期待結果の曖昧さ:
    期待結果の「金額が表示されていること」も漠然としています。正確な金額(例えば「10円」と表示されること)を指定しないと、「10円」を投入して「100円」と表示されても合格になってしまう可能性があり、偽陽性の結果を招くことがあります。

上記を踏まえて修正したテスト手順と期待結果は下記になります。

観点前提条件テスト手順期待結果
表示確認・硬貨を準備しておく
・パネルの初期値が「0」であること
1.自動販売機の硬貨投入口に10円硬貨を1枚入れる
2.パネルの表示を確認する
10円と表示されていること

この修正により、手順が明確になり、期待結果も具体的で正確な内容となります。

このように、文章力を駆使してテスト手順を適切に表現することで、誤解や誤判定を防ぎ、テストの信頼性が向上します。

文章力の向上は、論理的思考力にもつながります。テストエンジニアにとって論理的思考が重要である理由について、過去のSqriptsに興味深い記事が掲載されていますので興味のある方は、ぜひ以下のリンクをご参照ください。

※参照:テストエンジニアのための論理スキル[再]入門

まとめ|推奨スキル/資格

本記事では、前職で培ったスキルや考え方が、どのようにQAエンジニアとして活かされているかについてお話しましたが、QAエンジニアを目指すにあたっては、専門知識があることに越したことはありません。

QAエンジニアの知識を提供する「JSTQB Foundation Level資格」は、実務経験が全くない私でも取得することができ、難易度もそれほど高くありません。QAエンジニアに興味を持っている方や、これから目指す方は資格取得を目指してみてください。

▼テストプロジェクトのマネジメントに関する記事はこちら

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