現在は「VUCAの時代」と言います。VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったビジネスシーンで使われる言葉です。これら4つの言葉が表すとおり、「未来の予測が難しい状況」を表しています。
過去を振り返ると、使い古された言葉になりますが、高度経済成長時代に象徴されるように「作れば売れる」時代でした。しかし、VUCAという言葉が登場したように、現在は、「何が売れるかわかりにくい」状況に陥っています。ソフトウェア開発においても「何を作ればいいかわからない」時代になっています。
この連載では、現在やこれからの時代で求められるであろうソフトウェア開発における「品質」を再定義し、あるべき姿への道筋を示し、代表的なプラクティスなどを紹介しながら、アジャイルQA(アジャイルな品質保証、もしくは品質合意)活動や、具体的な手段としてアジャイルテスティングのあり方を議論していきます。

第2回目のテーマは、アジャイルQAトランスフォーメーションです。アジャイルQAを目指すためのロードマップを考えていきます。

はじめに

前回は、アジャイル時代に求められる「品質」について考えました。アジャイルな開発が行われる現場であれば、従来型の品質保証がうまくマッチしない可能性があるため、アジャイルなQAが求められてきます。さらに、アジャイルなQAにうまく移行していく必要があります。

アジャイルQAへの道のりはいくつかありますが、アジャイルコーチとしていくつかの現場で実際に行った方法を紹介させていただきます。すべての現場で同じ方法が通用するわけではないでしょうが、だいたいの方向性は似たようなものになるように思います。

この方法は、品質保証部門のメンバーが主体的にやる場合もありますが、開発全体で取り組む課題も多いため、開発全体でCTOやエンジニアリングマネージャーを巻き込みながらすすめるのがおすすめです。

ヒアリングのすすめ

最初のステップは情報収集です。まずは、現状を把握しましょう。みなさんの組織には様々な役割の方がいらっしゃるはずです。

・ビジネス
・プロダクトオーナー
・デザイナー
・エンジニア
・カスタマーサポートなどなど

それぞれの役割にとっての「品質」とはなんでしょうか? 

もしすぐに回答できないのであれば、残念ながら、サイロ化したQA組織になってしまっている可能性があります。品質を保証する立場に固執すると、品質を提供する相手の期待が理解できなくなってしまいます。これでは他の組織からの期待に答えられるはずがありません。

こういったケースでは、まずそれぞれの役割の人たちに協力していただいて、「彼らにとっての品質」を確認していきましょう。そして、その品質をおびやかす問題や課題を集めていきます。

役割と活動を軸にしたヒアリングシート

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SQRIPTER

藤原 大(ふじはら だい)

スーパーアジャイルコーチ、株式会社せかい 代表取締役

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スーパーアジャイルコーチ、エンジニアリングマネージャ、『リーン開発の現場』の翻訳者のひとり。創造的、継続的、持続的なソフトウェア開発の実現に向けて奮闘中。週末に娘と息子とお昼寝しながら世界のビーチや離島を旅する夢を見る。

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