テストエンジニアが身につけておきたいスキルの一つに「論理スキル」があります。
この連載では、「プログラムのレベル」「文や文章のレベル」に分けて、論理スキルの基本である「論理の言葉」を徹底解説します。
<テストエンジニアのための論理スキル[再]入門 連載一覧>※クリックで開きます
[第1回] なぜ、テストエンジニアに(も)論理のスキルは重要なのか【連載初回、全文公開中】
[第2回] プログラムレベルのロジック (1)概要編
[第3回] プログラムレベルのロジック (2)解説編・基本の論理演算
[第4回] プログラムレベルのロジック (3)解説編・論理演算の組合せ
[第5回] 文レベルのロジック (1)文レベルのAND/OR/NOT
今回の第5回から、「文レベルの論理の言葉」に焦点を当てて解説します。
長い文章も短い文のつながりで筋道がつくられています。ひとつの短い文の中にも構造があります(論理演算でつながれるような語句と語句との関係や、前提と結論といった関係など)。第5回・第6回は、そのような、一般的な文章の構造を支える「論理の言葉」を取り上げます。
文中では、一般的な文章や日常会話などで用いられる語句や表現を一般語と呼びます。
文や語句を否定する言葉、つなぐ言葉
- 「監視対象のいずれかが 異状を示していたら、緊急対応の判断を下す。そうでなければ引き続き状況を監視する」
- 「A、B、Cがすべて見つかり、かつ良好な状態なら、合流地点に集合する」「どれかが見つからないか、または良好な状態でない場合は出発点に戻る」
- etc.
……というように、
一般語でも論理演算(第3回・第4回参照)に相当する言葉を使って主張を組み立てたり文を表したりします(そもそも、一般語の意味や働きから論理的側面を抽出して論理の言葉を作ったのですが)。
- 否定(NOT)に相当する一般語の例: “~でない”
- 論理積(AND)に相当する一般語の例: “かつ”、“および”、“ならびに”、(ほか、ANDの関係であることを明示する修飾語句)
- 論理和(OR)に相当する一般語の例: “または”、“あるいは”、(ほか、ORの関係であることを明示する修飾語句)
一般語として使われる時は、「論理の言葉(論理的な側面に焦点を当てた使い方)」とは意味や働きがちょっと異なる場合があります。
言葉は同じものを使うだけに、意味の違いを識別するのが難しいこともあります。
文章の筋道を把握しようという時には「どの意味で使っているか」に注意を向けるのが望ましいです。
ソフトウェアやシステムの仕様書といった文書類はソフトウェアの振舞いを規定/記述するのが目的ですが、書き手が「論理の言葉」を意識して使っているとも限りません。
“~でない”の留意点
論理としての否定は、全体を打ち消す
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