こんにちは!テストエンジニアの藤江です。普段はテスト実施管理者として、顧客の課題やお困りごとに最前線で対応しています。
Sqriptsでは過去に「テスト実行・実施プロセスのモニタリングとコントロールについて」という記事を執筆しました。
今回は先日開催したウェビナー「開発者を困らせるバグ起票をなくすテスト管理のコツ(オンデマンド配信中)」についての振り返りと、発表を行うことの意義についてお話しします。発表の経験を共有し、皆さんにとって有益な情報をお届けできればと思います。
1. ウェビナーでの発表内容の概要紹介
ウェビナーでの発表内容を軽くおさらいします。主に不具合管理について3つのポイントをお話しました。
欠陥レポート報告のポイント
欠陥レポートには内容を見て、何が問題なのかを理解し、問題を解決することができる情報が記載されている必要があります。具体的な内容として一意な識別子、簡潔なタイトル、観測日、環境特定情報、再現手順、期待結果と実際の結果などが必要です。この中で特にポイントとなるのは以下となります。
- 条件(端末や権限等)、最後の手順、期待結果、実際の現象で簡潔なタイトルを記載
- 再現手順は初期状態から記載し、入力値も指定する
- 期待結果には、期待の根拠となる資料も添付する
不具合管理者としての改善策と効果
不具合管理者として、不具合報告をどのように整理すると効率が上がったかという話をしました。改善のポイントとしては以下となります。
- 文言の揺れを無くし、後から類似不具合の追いかけや内容検索ができるようにする
- 複数メンバーが並列で動作確認を行った際に、仕様変更の通知漏れや同根の不具合に起因する不具合報告の重複が発生していないかをモニタリングする
- 仕様理解を進めて仕様確認のリードタイムを減らして、実施効率を上げる
不具合管理のよくある失敗事例
不具合が再現できない、優先順位が不明、対応内容が不明確など、よくある失敗事例についても共有しました。こちらについても下記の観点での問題解決を提案しました。
- 再現が難しい報告には文章以外の手段として動画や画像等の共有を行う。再現確認の範囲を広げてみる
- 不具合対応者のタスク過多などによって、対応の優先順位が不明な状態になっていたら、現状把握と優先度の見直しを行い、現実的な対応スケジュールを提案する
- 最初に取り決めたルールが守られていない場合、ルールの見直しと周知を行う
2. ウェビナーを振り返って
アンケート結果について
ウェビナー終了後に行ったアンケートの結果、以下のようなフィードバックをいただきました。
- 非常に参考になった:8件
- 参考になった:28件
- どちらともいえない:5件
- 参考にならなかった:1件
また、26件の回答としてセミナー開催の案内が欲しいとの声もあり、概ね好評をいただいております。
やってみた感想
オンサイトでの講演と違って、視聴者の表情が分からないためオンサイトよりキツイと事前に聞いていましたが、実際に行ってみると自宅のリモート環境での講演だったこともあり30分独り言を喋っているような感覚になりました。特に講演する側に立つと、改めて以下が大事だと感じます。
- 前列でリアクションを取って頷いたりする人の存在
- 事前準備として、作成した資料の読み上げと講演時間の確認
- 口頭で補足する内容の整理や情報の根拠の再確認
これらを通して発表内容に関する理解や解像度は発表の相談を受ける前と比べるとかなり上がったと感じます。とはいえ、事前準備をどれだけ行っても不安で緊張してしまうものなので、とにかく発表の機会があれば受けてみるという姿勢が大切だと感じました。初めての発表を終えると、次はもっと長い発表にも挑戦しようという気持ちが湧いてきます。次の目標は90分間くらいの長い時間でJaSSTの講演など出来るようになることです。
次にやってみたい工夫
今回は一方通行の話し方になってしまい、独り言の感覚だったので、次回は対談形式や参加型のディスカッション形式で進めたいと思います。立場や所属の違うメンバーを交えての対談だったり、何かのテーマを決めてのフリートークに近い形でより印象に残りやすい講演が出来れば良いなと考えています。また、不具合の動画を出して、それを文字でどう伝えるかをライブ形式で書いていく、チャット欄を使って視聴者にも概要を記載してもらって内容を評価するなど、インタラクティブな要素も取り入れて双方向の講演となるようにして、出来るだけ反応が見える講演にしたいです。
3. 発表や勉強会等に参加することの意義について
セミナーやカンファレンス等のイベントに参加することで様々な気づきがあります。主に私が考えるメリットとしては以下となります。
発表することの主なメリット
- 発表の振り返りを行うことで、発表で得られる体験を再認識し、上記の工夫の検討といった具体的な目標や次のためのモチベーションに繋がります。
- 発表を通じて、自分の知識や経験を再確認し、自信とモチベーションを高めることができます。
- 発表の準備の過程で、内容を整理することでより深く理解することができます。
- 参加者からの質問やフィードバックを通じて、新しい視点やアイデアを得ることができます。
参加することの主なメリット
- 専門分野の講演やワークショップに参加することで、日常業務とは違った視点での考え方や知識を習得できます。
- 他の参加者や講演者との交流を通じて、新しい人脈を作ることができます。
- 同じ分野に興味を持つ人や同じ悩みを持つ人と交流し、様々なフィードバックを受けることで理解を深めることができます。
- 色々な提案を行う際に、●●社さんはこんな形で導入した事例があります。といった形で具体的な前例を示すことができます。
4. セミナー参加者や読者の皆様へのステップアップの提案
一度行ってノウハウを学んで終わりというわけではなく、学んだことの継続的な実践と確認が大事となります。例えるならセミナーや勉強会というのは効率的な筋トレ方法を聞いた状態で、実際に使える知識となるのは継続して学んだことを実践した後となります。そのため色々な勉強会やイベントに参加してみて、興味があったら実践してみることが重要です。
参加をお勧めするイベント
例えば、以下のようなイベントや配信があります。
- ASTERのyotube配信:JaSST Kyushuの過去の講演やセッションが視聴できます。
- ASTERのセミナー:定期的に開催されるセミナーで最新の知見を学べます。
- LTや対談等の軽量なイベント:JaSST nanoやConnpassなどのプラットフォームで開催されるライトなイベントに参加するのもお勧めです。
- セミナーやシンポジウム、カンファレンスなど:JaSSTやテスト設計コンテストなど、上記である程度の雰囲気が掴めたら是非大規模なイベントにも参加してみてください。
- TestingCommunityJPのSlackチャンネル:業界の最新情報や知見を共有するコミュニティに参加することも有益です。
最後に
登壇等のアウトプットをすることによって知識が増え、理解が深まります。発表や外部との関わりを通じて、他の人のアウトプットを吸収する機会も増えるのでさらに自分の知識を広げることができます。業務知識として得た価値観を俯瞰してみることができるようになるのもインプット、アウトプットの大きなメリットとなります。
私は今回のウェビナーを通じて多くの方に不具合管理の重要性とその実践方法について紹介し、様々なフィードバックを受けることができました。こちらを元に引き続きよりよい不具合管理を目指していきます。
アウトプットやインプットを増やすことで新しい発見や成長の機会が得られることは間違いありません。読者の皆さんの中からこのブログをきっかけに勉強会への参加や登壇を考える方が出てくれると嬉しいです。
関連記事
インプット、アウトプットに興味をお持ちの方には、Sqripter伊藤由貴さんによるこちらの特集もおすすめです!
筆者の関連記事はこちらです。