実践1on1[4] 〜 実例をもとに1on1をレベルアップ

ソフトウェア開発の世界では、アジャイル開発やスクラムが一般的になってきました。そのアジャイル開発のコアとも言えるのが、対話や協調です。この連載では、アジャイル開発におけるコミュニケーション・コラボレーションスキルを解説しながら、ファシリテーションスキルのレベルアップを目指します。

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実践1on1[1] 〜 簡単だけど難しい1on1
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実践1on1[3] 〜 相手に合わせたコミュニケーション方法とは?
実践1on1[4] 〜 実例をもとに1on1をレベルアップ
【最終回】さらなる成長のためのコミュニケーショントレーニング

第11回目のテーマは、実例をつかった1on1のレベルアップです。

前回のおさらい

1on1について、対話、さまざまなコミュニケーション方法、相手に合わせた対応などを学んできました。

ここでは総仕上げとして、実践例をもとにさらなるレベルアップを目指していきます。1on1は解説しにくいテクニックですが、会話例を紹介するとともに、その裏側でどのような考え方や意図があったのかも解説していきます。

1on1は「特にないです」からが本当の勝負

上司 「最近、調子どう?」

部下 「普通です」

上司 「なにか話したいことありますか?」

部下 「特にないです」

この「特にないです」は、言葉の裏側がわかりにくい言葉のひとつです。本当にないのか、話しにくいのか、これだけでは全容が見えません。

こういう場合は、対話のきっかけをさがすといいでしょう。たとえば、相手に念を押すコミュニケーションを取るなら以下のようになります。

上司 「なにか話したいことありますか?」

部下 「特にないです」

上司 「つまり、仕事がすべてうまくいっているということなんですね?

この方法は悪くありませんが、相手によっては「煽られている」と感じるようなので、言い方には注意が必要です。

もう少し自然に深堀りするなら以下のような方法もあります。

上司 「なにか話したいことありますか?」

部下 「特にないです」

上司 「じゃ、質問させてもらうけど、前回の1on1から今回の1on1までにあったNewなことはなんですか?

仕事を淡々とこなすだけでは、成長するのが難しいはずです。単調な仕事ももちろんあるでしょうが、そのなかでNewなこと(新しい発見)がなかったかを確認する質問です。大抵の場合、Newなことはありますし、なければ「そのときどう考えたか?」を深掘れます。

1on1において「特にないです」ははじまりの合図です。ここからが勝負と考え、さまざまな切り口の質問を用意しておくとよいでしょう。

ネガティブなことを伝える

成長のために、乗り越えなければならない壁がある場合があります。特に人の欠点はなかなかなおらないことが多いでしょう。ほとんどの場合、人生が変わるぐらいの変化が起きない限り、人はそう簡単に変わらないものです。

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SQRIPTER

藤原 大(ふじはら だい)

スーパーアジャイルコーチ、株式会社せかい 代表取締役

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スーパーアジャイルコーチ、エンジニアリングマネージャ、『リーン開発の現場』の翻訳者のひとり。創造的、継続的、持続的なソフトウェア開発の実現に向けて奮闘中。週末に娘と息子とお昼寝しながら世界のビーチや離島を旅する夢を見る。

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